前日高値(High)、安値(Low)、終値(Close)からサポートラインとレジスタンスラインを算出する方法として、一般的に「ピボットポイント(Pivot Point)」の計算が広く使われます。ピボットポイントは、テクニカル分析において価格の転換点やサポート・レジスタンスレベルを予測するための基準となるものです。以下にその計算方法を説明します。
サポートラインとレジスタンスラインを算出する方法
1. ピボットポイント(PP)の計算
まず、前日の高値、安値、終値を基にピボットポイントを計算します。これはサポートラインとレジスタンスラインの基準となる値です。
計算式:
PP = (前日高値 + 前日安値 + 前日終値) ÷ 3
2. レジスタンスライン(R1, R2)の計算
レジスタンスラインは、ピボットポイントを基に次のように計算されます。
- 第1レジスタンスライン (R1):
R1 = (2 × PP) - 前日安値
- 第2レジスタンスライン (R2):
R2 = PP + (前日高値 - 前日安値)
3. サポートライン(S1, S2)の計算
サポートラインも同様にピボットポイントを基に計算します。
- 第1サポートライン (S1):
S1 = (2 × PP) - 前日高値
- 第2サポートライン (S2):
S2 = PP - (前日高値 - 前日安値)
例
具体的な数値で計算してみましょう。
- 前日高値 (High) = 1,200
- 前日安値 (Low) = 1,150
- 前日終値 (Close) = 1,180
- ピボットポイント (PP):
PP = (1,200 + 1,150 + 1,180) ÷ 3 = 3,530 ÷ 3 = 1,176.67
- 第1レジスタンスライン (R1):
R1 = (2 × 1,176.67) - 1,150 = 2,353.34 - 1,150 = 1,203.34
- 第2レジスタンスライン (R2):
R2 = 1,176.67 + (1,200 - 1,150) = 1,176.67 + 50 = 1,226.67
- 第1サポートライン (S1):
S1 = (2 × 1,176.67) - 1,200 = 2,353.34 - 1,200 = 1,153.34
- 第2サポートライン (S2):
S2 = 1,176.67 - (1,200 - 1,150) = 1,176.67 - 50 = 1,126.67
結果
- ピボットポイント (PP): 1,176.67
- レジスタンスライン: R1 = 1,203.34, R2 = 1,226.67
- サポートライン: S1 = 1,153.34, S2 = 1,126.67
注意点
- これらのラインはあくまで目安であり、市場の状況や他の指標(移動平均線やボリンジャーバンドなど)と組み合わせて使うことが一般的です。
- 前日の値が極端に変動した場合、ラインの信頼性が低下する可能性があります。
実際のチャートで計算してみる
具体的なデータで計算してみましょう!こちらは2025年2月21日の日経先物チャートです。
前日の高値38,873円、安値38,058円、終値38,145円だった場合のサポートラインとレジスタンスラインを算出してみましょう。
前日高値38,873円、安値38,058円、終値38,145円を基に、ピボットポイント(PP)、サポートライン(S1、S2)、レジスタンスライン(R1、R2)を計算します。以下にステップごとの計算を示します。
1. ピボットポイント (PP) の計算
PP = (前日高値 + 前日安値 + 前日終値) ÷ 3
= (38,873 + 38,058 + 38,145) ÷ 3
= 115,076 ÷ 3
= 38,358.67円
2. 第1レジスタンスライン (R1) の計算
R1 = (2 × PP) - 前日安値
= (2 × 38,358.67) - 38,058
= 76,717.34 - 38,058
= 38,659.34円
3. 第2レジスタンスライン (R2) の計算
R2 = PP + (前日高値 - 前日安値)
= 38,358.67 + (38,873 - 38,058)
= 38,358.67 + 815
= 39,173.67円
4. 第1サポートライン (S1) の計算
S1 = (2 × PP) - 前日高値
= (2 × 38,358.67) - 38,873
= 76,717.34 - 38,873
= 37,844.34円
5. 第2サポートライン (S2) の計算
S2 = PP - (前日高値 - 前日安値)
= 38,358.67 - (38,873 - 38,058)
= 38,358.67 - 815
= 37,543.67円
結果
- ピボットポイント (PP): 38,358.67円
- レジスタンスライン:
- R1 = 38,659.34円
- R2 = 39,173.67円
- サポートライン:
- S1 = 37,844.34円
- S2 = 37,543.67円
これらの値は、価格が反発または反落する可能性のあるレベルを示しており、トレードの参考として利用できます。具体的な市場状況に応じて、他の指標と組み合わせるとより効果的です。
第3次、第4次サポート/レジスタンスラインについても検証してみる
ピボットポイント分析では、一般的に第1次(R1、S1)と第2次(R2、S2)までのサポートラインとレジスタンスラインが標準ですが、第3次(R3、S3)や第4次(R4、S4)まで拡張する手法も存在します。これらはさらに極端な価格変動を想定したレベルで、特にボラティリティが高い市場で参考にされることがあります。
以下に、前日高値38,873円、安値38,058円、終値38,145円を基に、第3次および第4次までのレジスタンスラインとサポートラインを算出します。なお、ピボットポイント(PP)は前回計算した値(38,358.67円)をそのまま使用します。
計算式
- 第3レジスタンスライン (R3):
R3 = R1 + (前日高値 - 前日安値)
= PP + 2 × (前日高値 - 前日安値)
- 第4レジスタンスライン (R4):
R4 = PP + 3 × (前日高値 - 前日安値)
- 第3サポートライン (S3):
S3 = S1 - (前日高値 - 前日安値)
= PP - 2 × (前日高値 - 前日安値)
- 第4サポートライン (S4):
S4 = PP - 3 × (前日高値 - 前日安値)
まず、前日高値と安値の差を計算:
前日高値 - 前日安値 = 38,873 - 38,058 = 815円
計算
1. 第3レジスタンスライン (R3):
R3 = PP + 2 × (前日高値 - 前日安値)
= 38,358.67 + 2 × 815
= 38,358.67 + 1,630
= 39,988.67円
2. 第4レジスタンスライン (R4):
R4 = PP + 3 × (前日高値 - 前日安値)
= 38,358.67 + 3 × 815
= 38,358.67 + 2,445
= 40,803.67円
3. 第3サポートライン (S3):
S3 = PP - 2 × (前日高値 - 前日安値)
= 38,358.67 - 2 × 815
= 38,358.67 - 1,630
= 36,728.67円
4. 第4サポートライン (S4):
S4 = PP - 3 × (前日高値 - 前日安値)
= 38,358.67 - 3 × 815
= 38,358.67 - 2,445
= 35,913.67円
最終結果
- ピボットポイント (PP): 38,358.67円
- レジスタンスライン:
- R1 = 38,659.34円
- R2 = 39,173.67円
- R3 = 39,988.67円
- R4 = 40,803.67円
- サポートライン:
- S1 = 37,844.34円
- S2 = 37,543.67円
- S3 = 36,728.67円
- S4 = 35,913.67円
補足
- 第3次(R3、S3)や第4次(R4、S4)は、価格が通常の変動範囲を超えた場合に意識されるレベルです。特に大きなニュースやイベントで市場が急変動する際に有用です。
- これらの値を実際のトレードに活用する際は、他のテクニカル指標(RSI、MACDなど)や市場のトレンドを考慮することをお勧めします。
本日2025年2月22日は土曜日で休場です。
果たしてサポートライン、レジスタンスラインはどれくらい機能するのでしょうか。
また結果を検証してみたいと思います。
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