【MACD】リンダ・ラシュキ氏のトレード手法を徹底解説

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リンダ・ブラッドフォード・ラシュキ(Linda Bradford Raschke)は、アメリカの著名なトレーダーであり、特に短期売買(ショートタームトレーディング)の分野で高い評価を受けています。彼女は「新マーケットの魔術師」(The New Market Wizards)で紹介された初の女性トレーダーとして知られ、その実践的かつ論理的なトレード手法は多くの投資家に影響を与えています。以下に、リンダ・ラシュキのトレード手法を徹底解説します。なお、彼女の手法は多岐にわたりますが、ここでは代表的な戦略や考え方に焦点を当てて説明します。


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1. リンダ・ラシュキのトレード哲学

リンダのトレード手法の根底には、以下の原則があります:

  • 規律とルールの徹底: 感情的な判断を排除し、事前に定めたルールに基づいてトレードを行う。
  • リスク管理の重視: 損失を最小限に抑えることが長期的な成功の鍵と考え、損切り(ストップロス)を厳格に設定。
  • 市場の短期的なパターンを利用: 長期保有ではなく、数日から数週間程度の値動きを捉えるスイングトレードやデイトレードが中心。
  • 適応性: 市場環境に応じて柔軟に戦略を調整する。

彼女はトレードを「確率のゲーム」と捉え、完璧な予測を目指すのではなく、統計的に優位性のあるパターンを活用することを重視しています。


2. 代表的なトレード手法

リンダ・ラシュキの手法は、テクニカル分析を基盤としつつ、独自の視点や工夫が加えられています。以下に主要な戦略を解説します。

(1) アンチ戦略(Anti Strategy)

  • 概要: MACD(移動平均収束拡散法)を用いた逆張り手法。トレンドが勢いよく転換した後の「押し目買い」や「戻り売り」を狙う。
  • 使用インジケーター: MACD(特殊なパラメーター: 3-10-16を推奨)。標準的な12-26-9とは異なり、短期的な動きに敏感に反応する設定。
  • エントリーポイント:
    • トレンドが急上昇または急落した後、MACDのヒストグラムがゼロラインに近づくタイミング。
    • 価格が一時的に反発(押し目や戻り)を示す局面でエントリー。
  • 特徴: 教科書的なMACDの使い方(トレンドフォロー)とは異なり、短期的な反転を狙う点がユニーク。迅速な相場追従が可能な手法として知られています。
  • 活用例: 株やFXなど、さまざまな市場や時間軸で応用可能。

(2) タートルスープ(Turtle Soup)

  • 概要: 伝説のトレーダー集団「タートルズ」のブレイクアウト戦略を逆手に取った手法。偽のブレイクアウト(ダマシ)を見極め、反転を狙う。
  • 使用インジケーター: 20日高値・安値などの単純な価格帯。
  • エントリーポイント:
    • 価格が20日高値を超えた後、すぐに反落した際に売り。
    • 逆に20日安値を下抜けた後、反発した際に買い。
  • 損切りと利確:
    • 損切りはブレイクアウト方向への再加速に備え、狭めに設定。
    • 利確は短期的な反動を狙うため、大きな利益より確実性を優先。
  • 特徴: 市場参加者がブレイクアウトに飛びつきやすい心理を逆利用する戦略。

(3) タートルスープ・プラスワン(Turtle Soup Plus One)

  • 概要: タートルスープの改良版。ブレイクアウト後の1日待ってからエントリーすることで、ダマシの確信度を高める。
  • エントリーポイント: ブレイクアウト翌日に価格が反転を確認してから仕掛ける。
  • 特徴: より慎重なアプローチで、誤ったシグナルを避ける効果がある。

(4) モメンタム・ピンボール戦略(Momentum Pinball)

  • 概要: 3日間のRSI(相対力指数)を活用し、短期的なモメンタムを捉える手法。
  • 使用インジケーター: 3日RSI(通常の14日ではなく、短期に特化)。
  • エントリーポイント:
    • RSIが70以上(買われすぎ)で反落した翌日に売り。
    • RSIが30以下(売られすぎ)で反発した翌日に買い。
  • 特徴: シンプルで機械的なルールに基づき、デイトレードやスイングトレードに適している。

(5) スパイク・アンド・レッジ(Spike and Ledge)

  • 概要: 急激な価格変動(スパイク)の後、もみ合い(レッジ)が形成されたタイミングで仕掛ける。
  • エントリーポイント: スパイク後の横ばいレンジを上抜けした際に買い(または下抜けで売り)。
  • 特徴: 市場の急変動後の安定化パターンを利用し、確実なトレンド再開を狙う。

3. リンダ流トレードのポイント

(1) 環境認識の重要性

リンダは単一のインジケーターに頼らず、長期足でのトレンドや市場全体の状況を把握することを推奨しています。例えば、アンチ戦略では短期的な反転を狙いますが、長期トレンドが逆行している場合は控えるなど、状況判断が鍵です。

(2) 資金管理

  • 1トレードあたりのリスクを資金の1~2%に抑える。
  • 損切りラインを事前に決め、逆指値注文(ストップオーダー)を活用して感情を排除。

(3) 心理面のコントロール

彼女は「恐怖心は経験で克服する」と述べており、トレードを繰り返すことで感情を抑える訓練を重視しています。特に初心者には「損失を早く認める勇気」を説いています。


4. リンダ・ラシュキの著作と学び方

リンダの手法を深く理解するには、以下の書籍が参考になります:

  • 『魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門』(原題: Street Smarts: High Probability Short-Term Trading Strategies): ラリー・コナーズとの共著で、タートルスープやモメンタム・ピンボールなどの具体的手法が解説されています。
  • 『新マーケットの魔術師』: 彼女のインタビューが収録されており、トレード哲学や実践例が垣間見えます。

また、彼女の公式サイト(LBR Group)やYouTubeチャンネルでは、最新の市場分析やトレードに関する洞察が公開されており、実践的な学びが得られます。


5. 実践への応用と注意点

  • メリット: リンダの手法はシンプルで明確なルールに基づいており、初心者でも再現しやすい。また、短期的な値動きに焦点を当てるため、忙しい人でも取り組みやすい。
  • 注意点: 彼女の手法は高い規律性が求められるため、ルールを守れない場合や感情に流されると効果が薄れる。また、市場環境によっては機能しない場合もあるため、バックテストやデモトレードで検証することが重要。

まとめ

リンダ・ラシュキのトレード手法は、テクニカル分析を駆使した短期売買戦略と、規律・リスク管理に基づく実践的なアプローチが特徴です。アンチ戦略やタートルスープ、モメンタム・ピンボールなど、具体的なパターンを活用することで、市場の短期的な機会を捉えることが可能です。彼女の成功は、天才的な直感ではなく、徹底した準備とルールの実行にあると言えるでしょう。トレードを学ぶ際は、まず彼女の哲学を理解し、自分に合った手法を試してみることをお勧めします。

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